キャッシュレス決済を利用しない理由として、不正利用などセキュリティ面の不安がありますが、スマホ決済を提供しているドコモの「d払い」とソフトバンクグループの「PayPay」がそれぞれ、「不正利用による被害を全額補償する」という内容を利用規約に盛り込むことを発表しました。
どちらも2019年8月28日(水)から開始されました。
2019年7月におきたセブンペイの不正利用などで、キャッシュレス決済のセキュリティ面が不安視される中、各社とも安心してキャッシュレス決済を利用できる環境の整備を進めているということですね。
今回はこれらの補償制度とはどういうものなのか?
また、そもそもキャッシュレス決済は危険なのか?といったことについて見ていきたいと思います。
もくじ
d払い、PayPayの不正利用時の補償制度とは?
ドコモが発表したプレスリリースの内容はこんな感じです。
「d払い」等における不正利用の被害を補償する制度を導入
ドコモのクレジットカード「dカード」と同様に補償制度を導入いたします。具体的には、「d払い」等をご利用のお客さまが不正利用の被害にあわれた際、従来は個別対応で補償を実施しておりましたが、2019年8月28日(水曜)からはお客さまの被害について被害額を原則全額補償いたします※。また、2019年8月27日(火曜)以前に発生した被害についても同様に対応させていただきます。
なお、d払い等を導入している加盟店様においてd払い等の決済で不正取引が行われた際も、原則として不正取引に起因して加盟店様がお取引金額に関して損害を被ることのないようこれまで通り対処してまいります。※お客さまの故意または重大な過失がある場合などには、補償できない場合があります。また、補償に当たってはドコモ側の審査や所定の手続きが必要となります。詳しくは各規約をご確認ください。
https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/190828_01_m.html
こちらはPayPayのプレスリリースです。
不正利用による被害を補償する制度の導入について
「PayPay」をご利用の全ユーザーを対象に、決済、チャージ、送金(譲渡)などのPayPayが提供するサービスにおいて、万が一アカウントや銀行口座情報およびクレジットカード情報などが第三者に盗用されて不正利用されるなどによる被害に遭われた場合、原則PayPayが被害額の全額を補償します。また、「PayPay」をご利用でない方(PayPayアカウントをお持ちでない方)が、不正利用などによって、「PayPay」を利用した被害にあわれた場合にも、原則PayPayが被害額の全額を補償します。
※ 被害に遭われた方に故意または重大な過失などがあった場合は、補償できない場合があります。
https://paypay.ne.jp/files/pr/pr20190828_02.pdf
いずれも全額を補償すると明記されていますが、被害者に故意、または重大な過失などがあった場合には補償できない場合があるとしています。
そもそも、PayPay、d払いは危険なのか?
セブンペイの不正利用が大きな話題になったため「スマホ決済は怖い」みたいな印象を与えてしまったのかもしれませんが、そもそもPayPay、d払いは危険なのでしょうか?
スマホ決済に限らず、現金、クレジットカード、電子マネーなど、どんな決済方法も100%安全なものはありませんが、紛失・盗難時の不正利用のリスクという面では、現金、クレジットカード、電子マネーよりは不正利用の可能性は低いと思います。
盗難・紛失時の不正利用の可能性と対応方法、不正利用分の補償
決済方法別に盗難・紛失時の不正利用のされやすさ、対応方法や補償内容をまとめてみました。
現金 | 簡単に使われてしまう、警察に届けても戻ってくる可能性は低い。 |
クレジットカード | サイン不要・手書きサインの決済は使われてしまう。 iDやQUICPayなど電子マネー付帯のものは電子マネーとして使われてしまう。 暗証番号や本人認証(3Dセキュア)のパスワードが必要な決済は、これらが知られなければ使われない。カード会社に連絡すれば利用停止にでき、不正利用分は補償される。 |
電子マネー(カード) | チャージされた残高までは簡単に使われてしまう。 オートチャージが設定されている場合は残高以上に使われてしまう。発行会社に連絡すれば利用停止にでき、記名済みのものであれば不正利用金額が補償されるものもある。 |
d払い・PayPay | スマホのロックが解除されない限り使われない。
パソコンでスマホにロックかけたり、携帯電話会社に連絡して利用一時停止にできる。 d払い、PayPayは不正利用金額が補償される。 |
一方で、スマホ決済の場合、ID・パスワードでログインして使うものですので、ID・パスワードが第三者に知られてしまった場合、別のスマホでログインされ不正に利用されてしまう危険がありますが、こちらについてはセキュリティの設定をしておけば、安全性を高めることができます。
d払いのセキュリティ設定
ドコモの回線を利用している方の場合、d払いの初期設定、支払い方法の変更はdアカウントに紐付いたドコモ回線(spモード)からしか設定ができないので、第三者に他の端末でログインされる可能性は、SIMを盗まれることでもない限り低いです。
また、d払いアプリは「dアカウント」を使ってログインしますが、dアカウントには不正ログインを防ぐための設定が色々あります。
- アカウントロック:パスワードを一定回数以上間違えるとロックがかかりログインできなくなる
- 2段階認証:ログイン時にSMS(ショートメッセージ)にセキュリティコードを送信し、セキュリティコードを入力しないとログインできなくする設定(普段利用する端末を登録することもできる)
- 生体認証:ログイン時にスマホの生体認証(iPhoneのFaceID等)を必要とさせる設定
- ログイン通知ロック:普段ログインしない環境からのログイン時にメールで通知する機能
- 緊急アカウントロック:通知メール記載のURLからアカウントをロックする機能
2段階認証をしておくことで、第三者が他のスマホでd払いアプリにログインしようとした際に、自分のスマホ宛にセキュリティコードの通知が届きますので、不正ログインを検知できますし、セキュリティコードが知られない限りログインされることはありません。
(よく使う端末として登録されているブラウザなどの場合はセキュリティコードの入力は不要になりますが、
2段階認証や生体認証、dアカウントのアプリで設定できます。
またd払いアプリも、ケータイ端末のロック設定(パスコード・指紋・顔認証)を設定することもできます。
なお、d払いのバーコード・QRコードは、有効期限5分のワンタイムのものになっていますので、バーコードが流出した場合のリスクも抑えられています。
自分のスマホが盗まれてパスコードロックが破られてしまった場合は、どうしようもありませんが、その際はきちんと手続きをとれば被害金額は補償されます。
d払いについてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ご確認ください。
PayPayのセキュリティ設定
PayPayアプリには、携帯電話番号とパスワード、もしくはYahoo! JAPAN ID、もしくはソフトバンク・ワイモバイル回線の携帯電話番号とパスワードでログインします。
携帯電話番号とパスワードでのログイン時のセキュリティ
普段利用していない端末での携帯電話番号とパスワードでのログイン時にはSMSで本人確認の通知が届くため、通知されたコードが知られない限りログインできなくすることができます。
Yahoo! JAPAN IDでのログイン時のセキュリティ
Yahoo! JAPAN IDでのログインについても、ワンタイムパスワードを設定するとログイン時にメールかアプリで通知されたワンタイムパスワードを入力しないとログインできなくすることができます。
Yahoo! JAPAN IDでは、他にもセキュリティ周りの設定ができます。
- ニックネーム:Yahoo! JAPAN IDを公開したくない場合などに、「別名」として利用
- シークレットID:IDの代わりにログインだけに使う秘密の文字列が設定できる
- ログインアラート:不審なログインを通知
- メールアドレスログイン:メールアドレスを使ってログインできる
- ログインテーマ:ログイン画面の背景をカスタマイズしてフィッシングサイトへのログインを未然に防ぐ
PayPayアプリでも端末認証を有効にすると、ケータイ端末のロック設定(パスコード・指紋・顔認証)を設定することもできます。
PayPayのバーコードも有効期限が5分のワンタイムのものになっています。
PayPayについてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご確認ください。
2019年10月の消費税増税に伴う負担緩和措置「日本どこでもキャッシュレス最大5%還元」
2019年10月の消費税増税に伴う負担緩和措置「日本どこでもキャッシュレス最大5%還元」により、増税後の6ヶ月間はキャッシュレス決済なら最大5%還元になり、キャッシュレス決済が注目されていきます。
キャッシュレス決済は使わないともったいない
私は現金しか使えないお店以外は、全てキャッシュレス決済にしていますし、全てのお店でキャッシュレス決済が使えるようになってほしいと切に思っています。
個人的に実感しているキャッシュレス決済のメリットはこんな感じです。
- 現金払いよりお得(ポイントや残高が還元される)
- 紛失・盗難、不正利用時の補償がある
- お店での支払いがスムーズ(現金に触らなくて済む)
- ATMで現金を引き出す必要がない(ATM手数料もかからない)
- 使った履歴がスマホで確認できる(レシートがなくても勝手に家計簿も作れる)
このあたりについては、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご確認ください。